
四月。園庭の桜がやわらかくほどけ、真新しい上履きの音があちこちで響きます🌸 進級して一つ大きくなった子も、この春にせんだんの仲間入りをした子も、みんなが少しだけ緊張した面持ちで、それでもどこか誇らしげに新しい毎日をはじめました。はじまりの一週間、園のあちこちで芽を出したのは、年齢それぞれの「やってみよう」でした。
そっと踏み出す、はじめの一歩
すみれ組(1歳児クラス)の部屋では、マットや牛乳パックでつくった平均台が、あそびの主役になりました。ある子は、はじめは保育者と手をつないで、そろりそろりと渡っていきます。けれど何度も繰り返すうちに、つないでいた手をふと離し、自分の力で渡ってみようとする姿が現れました。成功をひとつずつ積み重ねるたびに、渡りはじめの怖さがすうっと薄れていくのが、そばにいる保育者にも伝わってきたそうです。友だちと一緒に平均台を車に見立てて動かす子もいて、それぞれの「やってみたい」が、静かに動き出していました。

うめ組(3歳児クラス)は、園庭の遊具の使い方を確かめる日。三角ジャングルに登れると聞いた子どもたちは、目を輝かせて「やった〜!」と声をあげます。その一方で、ある子はそっと涙を見せ、「こわい」と保育者のところへ伝えにきました。「先生と一緒にやってみよう」。そう寄り添うと、その子は自分の足で一歩を踏み出すことができました。こわさと期待の間で揺れながら、大人の手にそっと支えられて踏み出したその一歩は、まぎれもなくその子自身が選んだ一歩でした。

仲間がいるから、動き出す
もも組(4歳児クラス)は、はじめてのパラバルーンに挑みました。「お話をよく聞くこと」「一人ひとりの力が大切なこと」を伝えると、子どもたちは真剣な顔で耳を傾けます。いざ持ち上げてみると、大きな布は思っていたよりずっと重い。それでも、みんなで息を合わせて力を込めると、色とりどりの布がふわりと空へふくらんでいきました✨ 広がる笑顔。活動が終わってからも「もっとやりたい」という声が、何度も何度も聞こえてきました。ひとりでは動かせないものが、仲間となら動く。そんな発見の一日でした。

進級したばかりのさくら組(5歳児クラス)は、鉄棒に向かいました。勢いをつけ、自分の体重を両手で支え、タイミングを見計らってくるりと回る。「できた!」のうれしさと、「次はもっと上手に」という悔しさの両方を胸に、何度も繰り返し鉄棒へ戻っていく姿がありました。
芽吹きは、その子の中から
四つのクラスの姿を並べてみると、挑戦のかたちは年齢でずいぶん違います。それでも、どの子にも共通していたものがありました。誰かに言われたからではなく、自分の中から湧いてきた「やってみたい」です。私は、この内側から立ちのぼる小さな気持ちこそが、子どもが将来ものごとに向かっていく力の根っこになると考えています。そして、その芽が安心して伸びていくのは、こわさに揺れる背中をそっと支えてくれる誰かがいるとき。同じ時間を分かち合い、うれしさを一緒に喜んでくれる人がそばにいることが、人を信じ、もう一度挑もうとする心を育てていくのだと思うのです。
はじまりの一週間に芽を出した「やってみよう」は、これから一年をかけてゆっくりと育っていきます。ご家庭でも、お子さんが「じぶんでやる!」と手を伸ばしたそのときは、できあがりの上手・下手はひとまず脇に置いて、踏み出した勇気のほうに目を向けてみませんか。小さな一歩を一緒に喜びながら、この一年、子どもたちの芽吹きを見守っていきましょう🌱
