
大型連休が明け、園庭の木々の緑が一段と濃くなりました。久しぶりに友だちの顔がそろった園庭には、いつもより少し高い声が響いています🌿。この一週間、私はあちこちで同じひとつの光景に出会いました。小さな子が、大きな子の背中をじっと観ている——そんな姿です。
ちいさな観察者たち
連休明け、久しぶりに園庭へ出たすみれ組(1歳児クラス)。ちょうどその日、園庭ではさくら組(5歳児クラス)のお兄さん・お姉さんがかけっこの練習をしていました。それに気づいた子は、その場に立ち止まってじっと観ています。かと思えば、真似をして一緒に走りだす子。ブランコに乗りたくて、両手を差し出し「かーしーて」と身振りで合図を送る子。担任は「それぞれのあそびの中に、一人ひとりの変化や成長が感じられました」と振り返っていました。
同じ連休明け、いちご組(2歳児クラス)の朝の会。休み明けで泣いてしまう子が多いのではと構えていた担任は、思いがけない姿に出会います。ある子が、みんなに整列を促したり、泣いている友だちにそっと寄り添ったり——「クラスのお手本になりたい」という気持ちが、その小さな背中いっぱいににじんでいたそうです。すると、その姿を観た子が「自分もしなくちゃ」と動きだす。憧れは、同じ年齢の中でも静かに伝わっていくのですね。
見られて、伸びた背すじ
翌日、もも組(4歳児クラス)は初めてバスに乗って、さくら組(5歳児クラス)のスイミングの見学に出かけました。到着したときは少し緊張気味だった子ども達も、プールの中の年長さんが見えると、表情がふっとやわらぎ、真剣な眼差しに変わります。「かっこいいな」「私もやりたい。出来るかな」——憧れの言葉が次々にこぼれました。

帰りのバスでは「青いゾウは男の子、ピンクのゾウは女の子」「プールでのお約束は?」と、子ども同士で確かめ合う姿が。観て終わりではなく、憧れがもう自分たちの言葉になって動きだしていました🚌。
そして同じ日のプールサイド。もも組が見に来ていると知ったさくら組(5歳児クラス)は、「かっこいい姿を見せたい」と朝から張り切っていました。前の回は楽しくなりすぎて注意を受けることもあったそうですが、この日は先生の話をよく聞いて頑張る姿があり、コーチから「出来るようになってる」と褒めてもらったのです。見られる側になった経験が、いつもより一段深い集中を引き出していました。

あこがれは、自分の中の火を灯す
この一週間、下の子は上の子を観つめ、上の子は見られることで背すじを伸ばしました。憧れというのは、誰かに「やりなさい」と言われて生まれるものではありません。心の奥がふっと動いて、「あんなふうになりたい」「やってみたい」という火が、自分の内側から灯る。その火こそが、子どもを次の一歩へと押し出していくのだと、私は長年の保育の中で感じてきました。そしてその火は、たいてい一人では灯りません。同じ時間、同じ場所で、誰かと心を響かせ合ったときに点るのです。見る子と見られる子、その間を行き来する眼差しの中で、子ども達は互いに育ち合っています。
ご家庭でも、お子さんが誰かの真似をしてみせる瞬間があったら、どうか「あんなふうになりたいのね」と、その芽を一緒に喜んでみてください。憧れは、未来へ向かう小さなエンジンです。次はどんな「やってみたい」が生まれるのか、私も楽しみにしています🌱。
