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小さな指が『考えて』いた一週間

2026.06.27

小さな指が『考えて』いた一週間

梅雨空の続く六月の終わり、雨の合間に園庭の紫陽花がしっとりと色を深めています☔。この一週間、保育室をのぞくと、どのクラスからも、走り回る賑やかさとは少し違う、指先に神経を集めた静かな熱気が伝わってきました。園じゅうで、小さな指たちが一斉に『何か』を掴もうとしていたのです。

「つまむ」から始まった、小さな挑戦

すみれ組(1歳児クラス)の子ども達は、洗濯バサミであそんでいました。ある子は驚くほどの集中力で、台紙にひとつ、またひとつと、一人で二十個近くもつけていきます。褒められると、それはそれは嬉しそうな顔。人の顔の台紙を気に入った子は、洗濯バサミを『髪の毛』に見立てて、自分の手でつけようと夢中です。指先で『つまむ・はなす』を確かめる時間は、その子その子が自分の力でたぐり寄せた『できた!』の連続でした。

洗濯バサミをひとつ、またひとつ。「できた!」が積み重なるすみれ組さん(1歳児クラス)の手元
洗濯バサミをひとつ、またひとつ。「できた!」が積み重なるすみれ組さん(1歳児クラス)の手元

いちご組(2歳児クラス)では、ペットボトルの蓋やネジをつなげるあそびが始まりました。ある子が長くつなげていくのを観ていた別の子が、『長くしたい』とぽつり。どうしたら繋がるのか、保育者や近くのお友達にたずね始めます。はじめにやり方を細かく説明しなかったからこそ、子ども達は自分の頭で工夫していました。長くつなげると嬉しそうに見せに来たり、できないお友達にそっと教えてあげたり。まねる、考える、たずねる——そのすべてが、小さな指先を通して起きていました。

ペットボトルの蓋を長くつなげて、うれしそうに見せに来るいちご組さん(2歳児クラス)
ペットボトルの蓋を長くつなげて、うれしそうに見せに来るいちご組さん(2歳児クラス)

危ない道具が、「思い通りの道具」になる

うめ組(3歳児クラス)は、七夕製作で三角つなぎに挑戦していました。好きな色の折り紙を選び、角と角をそっと合わせて三角に折り、線の上をはさみで二回切っていきます。左手で紙をしっかり持ち、線をよく観て手を動かす姿は、なかなかの職人ぶり。糊をつけるときには『ちょっとだけ』とつぶやいて、指に取る量を自分なりに加減し、三角をずらして貼っていました。少し前まで『危ないから』と大人が構えていたはさみと糊が、この子達の手の中で、いつのまにか『思い通りにする道具』へと変わっていたのです。

線の上をはさみで二回切り。折り紙をしっかり持って進めるうめ組さん(3歳児クラス)の職人ぶり
線の上をはさみで二回切り。折り紙をしっかり持って進めるうめ組さん(3歳児クラス)の職人ぶり

さくら組(5歳児クラス)が作っていたのは、七夕の提灯です。折り方、切る向き、切る場所に気をつけて進めるうち、『切る細さで提灯の感じが変わる』ことに気づいた子ども達。『僕は細かくいっぱい切ってみる!』『私は十個くらい切ったよ!』と、出来上がった提灯を近くのお友達と見せ合い始めました。細かく動かすか、大胆に動かすか。その選び方ひとつで、世界に一つの、その子だけの提灯になる。指の使い方がそのまま『その子らしさ』になるという発見が、さくら組の中で自然に立ち上がっていました✨。

切る細さのちがう提灯を見せ合うさくら組さん(5歳児クラス)。「僕は細かくいっぱい」「私は十個くらい」
切る細さのちがう提灯を見せ合うさくら組さん(5歳児クラス)。「僕は細かくいっぱい」「私は十個くらい」

小さな指が、「考えて」いた

この一週間、私がいちばん心を動かされたのは、どの子の指先の奥にも、確かに『考え』が宿っていたことです。二十個の洗濯バサミも、『長くしたい』の一言も、『ちょっとだけ』の糊も、誰かにやらされたものではありません。子どもの内側から『やってみたい』が湧き、その気持ちが小さな指を動かしていく。私は、この内から湧く力こそが、これから先どんな学びにも向かっていける、いちばん確かなエンジンだと考えています。真似てみて、つまずいて考えて、思いきってたずねてみる——自分で見つけた『できた!』は、教わって得たものよりずっと深く、その子の自信として残っていくのだと思います。

つまむ→つなげる→切る・貼る。年齢が上がるにつれ、指先の育ちがやわらかく積み重なっていく
つまむ→つなげる→切る・貼る。年齢が上がるにつれ、指先の育ちがやわらかく積み重なっていく

ご家庭でも、お子さんが何かを一心につまんだり、ちぎったり、貼ったりしている時間があれば、どうか少しだけ、そっと見守ってみてください。うまくできなくても、その小さな指は、いま懸命に『考えて』いるのですから。夢中で動く指先の先にこそ、未来へ向かう力が育っていくのだと思います🌱。

園の普段を、その目で見にきてください。

ブログで気になったことは、見学で直に確かめられます。お気軽にどうぞ。