
まだ日中は蝉の声が残り、園庭の照り返しに夏の名残を感じますが、朝夕の風にはほんの少し秋の気配が混じるようになりましたね🍃 夏休み明けのこの一週間、園はいつもよりゆっくりとした時間が流れていました。登園する子ども達の数がまだそろわず、園庭にも保育室にも、少しだけ余白のある日々。ところがその静けさの中で、私はこの季節ならではの、小さくてうれしい変化を何度も観ることになりました。
ひとりの「やってみたい」から
すみれ組(1歳児クラス)の子ども達が、手作りのフープやマットで身体を動かしていた日のこと。ぐるぐると部屋を巡ったあと、一人ひとりが自分の「やってみたい」を見つけていきます。フープを並べて、その中をぴょん、ぴょんと連続でジャンプする子。マットに寝転がって、足を空にバタバタとけり上げる子。誰かに言われたからではなく、自分の身体でおもしろさを確かめているのですね。やがて、同じあそびをしていた子どうしが、ふと顔を見合わせました。どちらからともなく、くすくすと笑い合う。言葉はまだ多くなくても、「これ、おもしろいね」という気持ちが、たしかに二人の間を行き来していました。

「いっしょ」が広がっていく
いちご組(2歳児クラス)の水あそびでは、こんな場面がありました。穴の開いた玩具に水を入れて、水がどこから出てくるのかをじっと観る子。「ここから出てるよ」と、うれしそうにお友だちに見せて回ります。すると別の子が、落ちてくる水の下に、そっと自分の玩具を差し出しました。最初はびっくりした様子でしたが、玩具を重ねると水が伝って流れ落ちることに気づいて、「雨だー」と歓声があがります💧 その声を聞きつけて、また一人、また一人。いつのまにか二人一組があちこちに増え、みんなで玩具を重ね合っては、小さな雨を降らせて楽しんでいました。

長いお休み明けの子も久しぶりに顔を見せたうめ組(3歳児クラス)では、みんなで泥んこあそび。冷たい水やひんやりとした泥に手足で触れながら、「冷たくて気持ちいいね」と声が弾みます。何度か経験を重ねてきた子は、お友だちと一緒に地面に川を掘り、バケツに水を汲んでは、二人がかりで運んで川に流し入れていました。水がすうっと流れていく様子を、二つの顔が並んでのぞき込む。かたわらではカナブンを見つけた子が、「カナブンって泳げる?」と真剣そのもの。ひとりの水あそびが、いつのまにか、みんなでつくる川へと育っていました。

小さな手が、小さな子へ
そして、この「いっしょ」の芽がぐんと育った姿を、さくら組(5歳児クラス)が見せてくれました。自分達で作った魚とポイを手に、もも組(4歳児クラス)の子ども達といっしょに魚釣り。さくら組の子は、もも組の子に釣り方を教えてあげたり、ネットが取れてしまうと「こうやるんだよ」と一緒に付け直してあげたり。誰かに頼まれたわけではなく、まわりをよく観て、小さな子へ自然と手を差し伸べていました。

一週間を通して私が思ったのは、ひとりで夢中になる時間と、誰かといっしょに楽しむ時間は、決して別々のものではない、ということです。ひとりでは思いつかなかったことが、となりに誰かがいるだけで生まれてくる。そしてみんなで見つけたおもしろさは、やがてその子自身の力になっていきます。同じ時間、同じ水、同じ泥を分かち合う経験こそが、人を信じ、人とつながっていく心の土台になるのだと、私は日々の保育の中で感じています。「いっしょにやろう」の一言は、その大切な入り口なのですね。
夏休みが明けて、園にまた一人、また一人と、にぎやかさが戻ってきます。ご家庭でも、「いっしょにやってみようか」と、ほんの小さなことを親子で分かち合ってみませんか。お子さんの「やってみたい」が、誰かとつながっていく瞬間を、私達もこれからじっくりと見守っていきたいと思います🌱
