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2026年8月の記事(全3件)
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2026.08.28
ひとり夢中が「いっしょ」になるまで
まだ日中は蝉の声が残り、園庭の照り返しに夏の名残を感じますが、朝夕の風にはほんの少し秋の気配が混じるようになりましたね🍃 夏休み明けのこの一週間、園はいつもよりゆっくりとした時間が流れていました。登園する子ども達の数がまだそろわず、園庭にも保育室にも、少しだけ余白のある日々。ところがその静けさの中で、私はこの季節ならではの、小さくてうれしい変化を何度も観ることになりました。 ひとりの「やってみたい」から すみれ組(1歳児クラス)の子ども達が、手作りのフープやマットで身体を動かしていた日のこと。ぐるぐると部屋を巡ったあと、一人ひとりが自分の「やってみたい」を見つけていきます。フープを並べて、その中をぴょん、ぴょんと連続でジャンプする子。マットに寝転がって、足を空にバタバタとけり上げる子。誰かに言われたからではなく、自分の身体でおもしろさを確かめているのですね。やがて、同じあそびをしていた子どうしが、ふと顔を見合わせました。どちらからともなく、くすくすと笑い合う。言葉はまだ多くなくても、「これ、おもしろいね」という気持ちが、たしかに二人の間を行き来していました。 フープを並べて連続ジャンプ、顔を見合わせて笑うすみれ組さん(1歳児クラス) 「いっしょ」が広がっていく いちご組(2歳児クラス)の水あそびでは、こんな場面がありました。穴の開いた玩具に水を入れて、水がどこから出てくるのかをじっと観る子。「ここから出てるよ」と、うれしそうにお友だちに見せて回ります。すると別の子が、落ちてくる水の下に、そっと自分の玩具を差し出しました。最初はびっくりした様子でしたが、玩具を重ねると水が伝って流れ落ちることに気づいて、「雨だー」と歓声があがります💧 その声を聞きつけて、また一人、また一人。いつのまにか二人一組があちこちに増え、みんなで玩具を重ね合っては、小さな雨を降らせて楽しんでいました。 玩具を重ねて流れ落ちる水を見上げるいちご組さん(2歳児クラス) 長いお休み明けの子も久しぶりに顔を見せたうめ組(3歳児クラス)では、みんなで泥んこあそび。冷たい水やひんやりとした泥に手足で触れながら、「冷たくて気持ちいいね」と声が弾みます。何度か経験を重ねてきた子は、お友だちと一緒に地面に川を掘り、バケツに水を汲んでは、二人がかりで運んで川に流し入れていました。水がすうっと流れていく様子を、二つの顔が並んでのぞき込む。かたわらではカナブンを見つけた子が、「カナブンって泳げる?」と真剣そのもの。ひとりの水あそびが、いつのまにか、みんなでつくる川へと育っていました。 バケツで水を運び、二人がかりで川に流し入れるうめ組さん(3歳児クラス) 小さな手が、小さな子へ そして、この「いっしょ」の芽がぐんと育った姿を、さくら組(5歳児クラス)が見せてくれました。自分達で作った魚とポイを手に、もも組(4歳児クラス)の子ども達といっしょに魚釣り。さくら組の子は、もも組の子に釣り方を教えてあげたり、ネットが取れてしまうと「こうやるんだよ」と一緒に付け直してあげたり。誰かに頼まれたわけではなく、まわりをよく観て、小さな子へ自然と手を差し伸べていました。 もも組さんに釣り方を教えるさくら組さん(5歳児クラス)の横顔 一週間を通して私が思ったのは、ひとりで夢中になる時間と、誰かといっしょに楽しむ時間は、決して別々のものではない、ということです。ひとりでは思いつかなかったことが、となりに誰かがいるだけで生まれてくる。そしてみんなで見つけたおもしろさは、やがてその子自身の力になっていきます。同じ時間、同じ水、同じ泥を分かち合う経験こそが、人を信じ、人とつながっていく心の土台になるのだと、私は日々の保育の中で感じています。「いっしょにやろう」の一言は、その大切な入り口なのですね。 夏休みが明けて、園にまた一人、また一人と、にぎやかさが戻ってきます。ご家庭でも、「いっしょにやってみようか」と、ほんの小さなことを親子で分かち合ってみませんか。お子さんの「やってみたい」が、誰かとつながっていく瞬間を、私達もこれからじっくりと見守っていきたいと思います🌱

2026.08.23
手のなかから、お店が生まれた一週間
お盆が明けて、園に子ども達の声が戻ってきました。日中の日差しはまだ真夏そのものですが、夕方の風にほんの少しだけ秋の匂いが混じるようになりましたね🌻。そんな一週間、園のあちこちで同じ光景が生まれていました。子ども達が自分の手で何かを”作り”、その”作ったもの”で夢中になってあそぶ姿です。 「アイス屋さん、やりたい」——作ったものが、お店になる 始まりは、3歳児クラスのうめ組さんでした。私が朝礼でアイスの話をしたのが保育室でも盛り上がったようで、そのまま「アイス作ろう」に。ハサミで曲線をそうっと切ってアイスの形にしていくと、色ごとに「いちご味だ〜」「こっちはメロン!」と会話がひろがります。2つ3つと積み上げては「サーティワンみたい!」と目を輝かせる子も🍦。やがて一人の子から「アイス屋さんやりたい」の声があがり、この一言が、スタンプ、トッピング、お金作りへと続く一週間の出発点になりました。 その集大成が、金曜日の2歳児クラス・いちご組さんです。月曜からグループに分かれて作りためたまぐろ、エビ、いくら、卵——お金とレジもそろえて、いよいよ「いちご寿司」の開店です。「いらっしゃいませ」「これ、下さい」とお金を渡し合い、レジ担当になった子は「ちょっと待ってて ね」と、お金をしまうしぐさまで一人前。前の日に、本物のお札を思い出したのか、茶色やグレーでお金を塗っていた子もいました。魚べいで見た景色が、自分たちの手を通って、お店ごっこにまで育った一週間でした。 「これ下さい」——お金を渡し合う、いちご組さんのお寿司屋さん 自分たちで見つけた、あたらしいあそび 1歳児クラスのすみれ組さんは、前の日にクレヨンで描いた紙を魚の形に切って見せると、目を真ん丸にしていました。この日はホールで、ひよこ組さんと一緒に金魚すくい。自分で選んだポイで一生懸命すくったり、手でダイナミックにつかまえたり。しばらくすると、平均台に金魚を並べはじめ、ポイをうちわのようにあおいで、魚がヒラヒラと落ちるのを見て笑い出す子がいました。大人の目には焼き魚を焼いているようにも見えるのですが、子どもにとっては、また別の”楽しい”の発見だったのですね。 平均台に並べた魚をポイであおいで笑う場面 5歳児クラスのさくら組さんは、月曜から積み重ねてきた平面と立体のヨーヨーが完成し、水に見立てたブルーシートの上でヨーヨー釣りへ。「これ私の」「これ、可愛いね」と、自分の作品もお友達の作品も並べて見合います。「全員でやる?分けてやる?」と保育者が問いかけると、ある子が「半分が良いんじゃない?1,2、1,2って分けるといいよ!」と提案してくれました。その話し合う姿に、隣で見ていたもも組さんも刺激を受けているようでした。 「やってみたい」から始まる 四つのクラスの一週間を並べてみて、私が改めて確かだと感じるのは、どのあそびも大人が「やりなさい」と持ちかけたものではない、ということです。子どもの内側から自然にわいてくる「やってみたい」——私は、この小さな火種を何より大切にしています。作った紙を「タコみたい」「扇風機みたい」と見立て、金魚を焼き魚に変えてしまう。その思いつきに、私たち大人が心から驚き、一緒に面白がる。その響き合いが、子どもの「もっとやりたい」を太くしていくのだと思います。そしてさくら組さんが「半分こ」を自分たちで決めたように、友達と思いを重ね、みんなが楽しめる道を一緒に探す力も、こうしたあそびの中で静かに育っています。 手で作った「素材」が「作品」になり、やがて「ごっこ遊び」へ——貫くのは、子どもの『やってみたい』 ご家庭でも、お子さんが何かを作って「見て見て」と持ってきたら、まずは一緒に驚いて、面白がってみませんか。その一つの「すごいね」が、明日の「やってみたい」を育てていくのだと思います。二学期も、子ども達の手のなかから、どんなあそびが生まれるでしょうか。今から楽しみです😊

2026.08.03
「これ、○○みたい!」見立てが広げる夏のあそび
梅雨が明け、園庭にはセミの声と子ども達の歓声が響く季節になりました🌻 水あそびに絵の具あそび、外へ内へと、あそびの舞台もにぎやかです。そんな今週、園のあちこちで同じような声が聞こえてきました。「ねえ、これ、○○みたい!」目の前のただのモノが、ふとした瞬間に別の何かへ姿を変える——子ども達の見立てが、あそびをぐんと広げた一週間でした。 葉っぱも、色水も、特別なモノに 久しぶりのベビーガーデンに出かけた、すみれ組(1歳児クラス)の子ども達。可愛らしい葉っぱを一枚見つけると、宝物を扱うように、そっと大事そうに握りしめていました。トンボが飛んでくれば、「まってー」「おいで」とお友達と一緒に追いかけて。大人にとってはなんてことのない一枚の葉っぱ、一匹のトンボが、この子達にとってはかけがえのない特別なモノなのですね。 宝物みたいに、そっと握りしめた一枚の葉っぱ(すみれ組・1歳児クラス) いちご組(2歳児クラス)では、2回目の色水あそび。ポンプの使い方もぐっと上手になり、それぞれが思い思いの「ミックスジュース」を作っていきます。自慢の一杯ができあがると、椅子に腰かけてお友達と「かんぱーい!」。飲んだフリをしては「美味しいね」と笑い合う姿が、なんとも微笑ましいのです🥤 あそび終わりには、ペットボトルで作ったシャワーから水がこぼれ落ちる様子をじっと眺めて、「雨みたいだね」と、こんどは空を思い浮かべていました。 「かんぱーい!」自慢のミックスジュースで乾杯するいちご組さん(2歳児クラス) 花火と、ドラゴンフルーツ うめ組(3歳児クラス)が挑戦したのは、画用紙に垂らした絵の具をストローで吹き広げる「吹き絵」です。水が溜まりすぎるとうまく広がらないと気づいて量を加減したり、赤と青が重なって紫になる不思議に目を丸くしたり。試しては確かめる、その手つきは真剣そのものでした。やがて出来上がった作品を眺めた子ども達から、「花火みたい!」の声が。そこからは「お祭り行ったよ!」「お家でやった!」と、夏の思い出話で大盛り上がり🎆 担任もその声を受けて、次は花火のあそびへと計画を組み直したそうです。 ストローで吹き広げてできた、うめ組さんの「花火みたい!」な吹き絵(3歳児クラス) さくら組(5歳児クラス)では、「フルーツバスケットをしよう!でも、フルーツがないね」という保育者の投げかけに、「作れば良いんだよ」と、すぐに答えが返ってきました。「どんなフルーツがある?」と尋ねると、りんごやぶどうに交じって、大人も驚く「ドラゴンフルーツ」まで飛び出します。無いものは自分達で生み出していく——さすが年長さんですね。翌日もそのカードであそびは続き、順番でちょっぴり心細くなる子がいると、周りの子が自然と寄り添う姿もありました。 見立てる、ということ 長年、子ども達のあそぶ姿を観てきて、私がいつも心を惹かれるのが、この「見立てる力」です。目の前にあるのは、色のついた水、絵の具の飛沫、庭に落ちた一枚の葉っぱに過ぎません。けれど子ども達は、そこに自分だけの物語を見つけ出します。誰かに「こう見なさい」と教わったわけではなく、自分の心がふっと動いた一瞬から、水は甘いジュースになり、飛沫は夜空の花火になるのですね。面白いのは、一人の「みたい!」がすぐに隣の子へと伝わっていくこと。乾杯ごっこになり、お祭りの思い出話になり、あそびはどこまでも広がっていきます。私は、こうして自分で意味を見つけ、それをお友達と分かち合っていく経験こそが、子ども達が自分の力で世界を面白がっていく根っこを育てているのだと思うのです。 夏は、子ども達の感性がぐんと豊かに育つ季節です。ご家庭でも、お子さんがふと口にする「これ、○○みたい!」に、ぜひ耳を傾けてみてください。その一言の中に、その子だけのまなざしが、きっと光っているはずです。次はどんな「みたい!」に出会えるでしょう。夏のあそびは、まだまだ続きます。
