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2026年9月の記事(全4件)
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2026.09.26
大きい子みたいに、やってみたい
朝夕にふと涼しさを感じるようになり、暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものですね。境内の木々も、少しずつ葉の色を変え始めました🍂 そんな秋の入り口の一週間、園のあちこちで、小さな子が大きな子の背中をじっと追いかける姿が見られました。 大きい子の背中を追いかけて 境内をお散歩していたひよこ組(0歳児クラス)のある子が、すみれ組(1歳児クラス)のお兄さんお姉さんの後を、慣れた様子でついて行きました。小石を拾って並べたり、そのあそびを真似してみたり。やがて、大きな石の上に小石をそっと置こうとして——ころん、と転がってしまう。「あれ?」という顔をして、もう一度。また転がる。それでも飽きずに、しばらく何度も繰り返しては楽しんでいました。誰かに教わったわけではなく、大きい子のあそびを目で追い、身体でなぞるところから、その日の夢中が始まっていたのですね。 大きな石に小石をそっと置こうとする、ひよこ組さんの小さな手元 いちご組(2歳児クラス)の戸外あそびでは、三輪車にまたがって、どこまでまっすぐ走れるか確かめる子がいました。ブランコも、足を伸ばして、縮めて、と乗り方を覚えた子ども同士でこぎ合っています。そばを大きな三輪車やスクーターに乗ったさくら組(5歳児クラス)やもも組(4歳児クラス)が通ると、ぴたりと手を止めて「どうやって乗るのかな?」とじっと観ていました。ペダルに足が届かずぐらついても、上の子の足の運びをもう一度見て、置き直して、また踏み込む。自分なりに乗り方を工夫していく姿に、成長を感じます。 三輪車にまたがって、まっすぐ進もうとするいちご組さん 教わって、できて、また褒められて もも組(4歳児クラス)が縄跳びの練習をしていると、近くにいたさくら組(5歳児クラス)の子達が、自分の縄跳びをしながら一生懸命教えてくれました。走りながら跳ぶ練習をしてみると、できる子が続々と。「先生、出来たよ」「もっとやりたい!」と、あちこちで声が上がります😊 片付けもすっかり早くなって、さくら組のお兄さんお姉さんから「早い、すごいね」と驚かれる場面もありました。教わって、できて、また褒められて。その繰り返しの中で、子ども達の顔がどんどん明るくなっていきました。 走りながら縄を跳ぶ瞬間、弾けるような表情のもも組さん まねっこの奥にあるもの 小さい子は、大きい子の姿にちょっとした憧れを抱きます。「あんなふうにやってみたい」——この気持ちは、誰かに言われて出てくるものではなく、子どもの内側から自然に湧いてくるものですね。長い間子ども達を観てきて、私はこの「やってみたい」こそが、あらゆる学びのいちばん最初の芽なのだと感じています。そして大きい子もまた、教える中で自分の「できる」を確かめ、少しずつ優しさを育てていく。年齢の違う子が同じ時間の中で響き合っていく、この混ざり合いが、私はとても愛おしいのです。 皆さんのご家庭でも、お子さんが年上の誰かの真似をして、ちょっと得意げにしている場面はありませんか。その小さな「まねっこ」の奥には、きっと大きな「やってみたい」が隠れています。急かさず、そっと見守ってあげたいですね🌱

2026.09.20
拾った朝顔が、明日のあそびになる
九月も半ばを過ぎ、日中はまだ汗ばむ陽気が続いていますが、朝夕の風にふと秋の匂いが混じるようになりました🍂 「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、園庭では子ども達が長く伸びた影を追いかけ、季節の移ろいを身体で感じています。今週は、そんな園庭で拾った小さなモノや、五か月かけて育てたお米が、次の日のあそびへと繋がっていく姿を、沢山観ることができました。 むらさきの水が、とんぼの羽になるまで うめ組(3歳児クラス)の子ども達が、園庭に咲いていた朝顔の花を、両手いっぱいに拾ってきました。ビニール袋に水と一緒に入れて、そっともんでみると――みるみるお水が紫色に染まっていきます。「先生、見て〜!」「お水が紫色に変身したよ」。びっくりした顔と、得意げな顔が入り混じって、袋を掲げる小さな手が、なんとも誇らしげでした。 紫色に変身した色水を、誇らしげに掲げるうめ組さん(3歳児クラス) この『発見』は、その日だけでは終わりませんでした。次の日、子ども達は昨日の色水を持ち出して、とんぼの製作を始めます。半分に折った紙をハサミで切り、開いてみると――「開いたらとんぼの羽になった」。その羽に色水をつけると、白い紙にほんのり紫がにじんでいきます。「紫色になった」「どんな色になるかな?」。羽を手で押さえながら、一枚ずつ丁寧に染めていく横顔は、真剣そのものでした。 昨日の色水で、とんぼの羽をそっと染めるうめ組さん(3歳児クラス) 五か月分の時間が実った稲 さくら組(5歳児クラス)では、五月に種をまいたお米が、五か月の時をかけて、こがね色に実りました。いよいよ稲刈りです。鎌を使うと話すと、「家で見たことある」「かまきりみたい」と声が上がります。稲の束をしっかり握り、全身で力を込めて鎌を前後に動かす。「稲刈れたよ!」――育てて、見守って、自分の手で収穫する。その一連を、子ども達は一粒も取りこぼさないように味わっていました🌾 五か月かけて育てた稲を、鎌を握って刈るさくら組さん(5歳児クラス) 翌日は、刈ったばかりのお米を、今度はじっくりと観る番です。「先が尖っているよ」「お米からちいさい毛がたくさん生えているよ」「触るとザラザラしている」。手のひらの一粒から、次々と発見がこぼれ出します。稲穂の絵を描くときには、一粒一粒を丁寧に置きながら、「ここは色が違うから何色にしようかな」と、しばらく手を止めて考え込む姿もありました。 刈ったばかりのお米をじっくり観ながら、稲穂を描くさくら組さん(5歳児クラス) 昨日と、今日と、明日と むらさきに変身した水も、こがね色に実った稲も、その日だけの『できた』では終わりませんでした。昨日の発見が今日の素材になり、今日の観察が明日の絵になっていく。私は、子どもの「もっと知りたい」「もっとやってみたい」という気持ちは、誰かに言われて生まれるものではなく、心の内側から自然に湧いてくるものだと思っています。その芽が日をまたいで続いていくとき、あそびはぐっと深まっていきます。そして、「見て〜!」と駆け寄る一声を、まわりの子ども達や先生が一緒に驚き、一緒によろこぶ。その響き合いこそが、次の一歩へと子ども達の背中をそっと押しているのだと、園庭で日々感じています。 昨日の発見が、今日の素材になり、明日のあそびへ ― 日をまたいで続いていく学びのつながり ご家庭でも、お子さんが「見て見て!」と何かを持ち帰ってきたら、ぜひその小さな発見に、一度だけ足を止めてみませんか😊 昨日から今日へ、今日から明日へ。あそびはそうやって続き、その連なりの中で子ども達の「もっと」は、静かに、けれど確かに育っていきます。むらさきの色水と稲穂の絵が、この先どんなあそびへ広がるのか――今から楽しみにしています。

2026.09.15
くり返しの先に、「できた!」があった
朝夕に吹く風が少し涼しくなり、園庭のあちらこちらから虫の声が聞こえるようになりました🍂 二学期が始まって二週目、子ども達はすっかり園の生活のリズムを取り戻したようです。今週は、月曜から金曜まで同じあそびをくり返し続けたクラスがいくつもありました。同じことのようでいて、金曜日に覗いてみると、月曜とは少し違う姿がそこにありました。 五日目に、きのこができた うめ組(3歳児クラス)では、月曜日の折り紙から「きのこ」づくりが始まりました。水曜日は歯ブラシで絵の具を弾かせるスパッタリング、木曜日はコーヒーフィルターに色をにじませて……と、素材と技法を毎日少しずつ変えながら、同じ「きのこ」を五日間かけて追い続けたのです。ハサミの使い方にも日ごとに慣れ、切り出した柄(え)を糊で一つ一つ丁寧に貼っていきます。そして金曜日、ついに一本のきのこが仕上がると、どこからともなく「き・き・きのこ」と歌声が。「毒きのこになった!」とうれしそうに話す子も何人かいました🍄 五日目、糊で柄を貼って仕上げるうめ組さん(3歳児クラス)のきのこ 担任からは、夏休み前にも同じにじみ絵をしてみたけれど、二学期の子ども達の想像力や、丁寧に取り組む姿に成長を感じた、という記録が届きました。同じことをもう一度してみたからこそ、見えてくる育ちがあるのですね。 ルールも、水の中も いちご組(2歳児クラス)では、火曜日に初めて「むっくりクマさん」に挑戦しました。初日は輪になって手をつなぎ、歩くこと自体が難しかったのですが、水曜、金曜とくり返すうちに、園庭で丸をつくるのもすっかり上手に。ルールを覚えた子が、まだ戸惑っている友だちに「手つなぐんだよ」と声をかけ、クマ役の子には「おめめ」と目を隠す仕草で教えてあげる姿も見られました。 手をつないで丸をつくる、いちご組さん(2歳児クラス)のむっくりクマさん 追いかける・追いかけられるの意味も、くり返すたびに体に染みてきたようで、逃げるときには歓声が上がっていました。 さくら組(5歳児クラス)は、プールで鼻から息を吐く「鼻ブクブク」の秒数を、一人ずつ数えてみました。三秒、五秒——これまで積み重ねた練習の分だけ、息を吐ける時間が確かに伸びています。「ぷりんのんー、と伸ばしながらやってみよう」というコツも教わって、一人ずつ「できた」を確かめていきました。そして、以前はビート板につかまって浮いていた子ども達が、この日はビート板を手放し、自分の力だけで水にぷかりと浮かんだのです💧 ビート板を手放して、自分の力で浮かぶさくら組さん(5歳児クラス) くり返しの先にあるもの 同じあそびをくり返すことを、単調だと感じる大人もいるかもしれません。けれども私は、子どもにとって「くり返す」ことは、飽きるどころか、一番の楽しみなのだと思っています。真似てみたい、もう一度やってみたい——その内側から湧いてくる気持ちに促されて、子ども達は何度でも同じあそびに向かっていきます。そして五日目に、月曜には見えなかった「たしかさ」が、そっと姿を現す。きのこの完成であり、友だちへの「手つなぐんだよ」であり、ビート板を手放した瞬間です。 できるようになった一つ一つは、小さな出来事かもしれません。でも、くり返した日々の分だけ、子ども達の中には確かな手応えが積もっています。ご家庭でお子さんが「また同じことしてる」と夢中になっていたら、どうぞそのくり返しを、温かく見守ってあげてくださいね😊 来週はどんな姿に出会えるか、今から楽しみです。

2026.09.07
小さな秋を、先に見つけたのは
まだ日中は汗ばむ陽気が続きますが、朝夕の風や日差しの角度に、少しずつ秋の近づきを感じるこの頃です🍂 夏休みが明けて、久しぶりに戸外へ出た子ども達。園庭やお散歩の道で、大人の私たちよりも先に「小さな秋」を見つけていたのは、いつも子ども達の方でした。 手でたしかめる、小さな秋 久しぶりのベビーガーデンで、すみれ組(1歳児クラス)の子ども達が足を止めたのは、ヤマボウシの実でした。指先でそっと押してみたり、きゅっと潰してみたり。柔らかいような、つぶれるような、はじめての感触を、飽きずにじっくりと確かめています。「わお!」——見つけた驚きと不思議さの入り混じった声。やがて、ひとりの子が実をつまんで「はい、どうぞ!」と、隣の友だちにそっと手渡しました。ことばはまだ多くなくても、見つけたモノを介して、心が確かに通い合っています。 ヤマボウシの実を指先でそっと確かめる、すみれ組(1歳児クラス)の手元 同じ頃、夏休み明け初めてのお散歩に出たいちご組(2歳児クラス)。道ばたのエノコロ草の前で、ある子が立ち止まりました。「なんか茶色になってる」「前は緑だった気がするな…」——夏のあいだの草の変化を、誰に教わるでもなく、自分の目でとらえていたのですね。手に取って横に振ってみると、ふさふさの穂がゆらゆら。「猫の尻尾だ!!」の一言に、みんなで大笑い🐈 揺れる穂を追いかけて、道草はしばらく続きました。 エノコロ草の穂をゆらして、みんなで大笑い!——いちご組(2歳児クラス) 稲の色と、教え合うことば バケツで育てている稲を観に行ったさくら組(5歳児クラス)。「少し茶色になったね」と、前回との違いにすぐ気づきます。そっと触れた子が「硬いね」。別の子は「葉っぱはベタベタしているよ。触ってみて」と、自分の発見を隣の友だちに手渡します。教わるのではなく、子ども同士で教え合う姿。部屋に戻ると、細い穂の一本一本まで丁寧に描き、茶色や黄色を重ねて、色の移り変わりを絵と文にまとめていました。見て、触れて、感じたことが、その子の中でしっかりと形になっていきます🌾 色づいた稲穂に、そっと触れる——さくら組(5歳児クラス)の真剣なまなざし 大人より先に気づくのは 夏の終わりの草の色、実の手ざわり、稲の重み。大人はつい見過ごしてしまう小さな変化を、子ども達はいつも先に見つけます。「これ、何だろう」「やってみたい」——その内側から湧いてくる気持ちこそが、学びの本当の入口だと、私は長年の保育の中で感じてきました。そして、見つけた驚きを「はい、どうぞ」「触ってみて」と誰かと分かち合うとき、子どもの世界はぐんと広がっていきます。同じ時間に、同じモノを一緒に感じる——その積み重ねが、人を信じ、共に生きる心の土台になっていくのだと思います。 皆さんのご家庭でも、いつもの道を子どもの目の高さで歩いてみませんか。足元の草や木の実の中に、大人の気づかない小さな秋が、きっと隠れています。「見つけた!」と目を輝かせる瞬間を、どうぞ一緒に楽しんでいただけたらと思います。これからの季節、園庭がどんな色に染まっていくのか、私も楽しみです。
